ドア


外はたくさんの音で溢れている。
ヒトの音、自然の音、生き物の音
音と思考が混淆するとき、わたしは狼狽の極地に至る。
だから耳にドアを取りつけることにした。



世界はたくさんの物質で溢れている。
ヒト、建物、生き物
物質と思考が目まぐるしくわたしを襲う。
だから目にはドアが必要なのだ。



地球はたくさんの不快なニオイで溢れている。
ヒトの体臭、自然のニオイ、生き物のニオイ
ニオイがわたしの思考を愚鈍にさせる。
だから鼻にもドアをつけるべきなのだ。



どんなに知覚を塞いでも、
ヒトの思考は止められない。
ヒトは常に考え、漸進する。
考える葦とは、よく言ったもの。





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