言葉の呪縛

身体に足が生えた。
そしたらみるみる内に二本の足で歩けた。
手に四つの割れ目ができて、五本の指に裂けると、
小さなものを掴めるようになった。


石をぶつけると、生き物が死ぬ。
石をぶつけると、火花が起こる。
閃くものが、火を使って肉を焼いた。
閃くものが、火を使って暖をとった。


やがて、自分の気持ちを聞いて欲しくて
他人の気持ちが聞きたくて
言葉を作った


言葉が人間同士の繋がりを生み出し、
新たな発展を促した。
善良な言葉と劣悪な言葉は混淆し、
絵画のような芸術を披露する。


やがて、話さなくても済むように
ずっと後まで残したくて
言葉を文字に表した


文字が新たな世界を創造し、
世界の人口を大いに増やした。
滑らかな表現と優美な文字の並びに、人間は快感を覚え、
それを詩と名付けた。


ところが、彼らはこれらを不正に応用し、
粗悪なものへと変えてしまった。
牛は角によって捕らえられ、人は言葉によって縛られる







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