くず星











ゴミ箱をひっくり返したように


散らかったくず星


生きる意味を失い何百年も


この世にすがる惨めなくず星


半球に広がる暗い空は


汚れて尚哀しい




群青の陰影の中に佇む人影が


ひと雫の水滴をこぼす時


ブリキの私は尋ねた


何故涙を流すのかと


「“果たす”の意味を知っていますか?


遂げること、全うすること、終わらせること。


わたしは使命を果たしていないが、


命を果たさなければならない。


なんとむごい運命」




何も言わない私に目もくれず


影は語り続ける




「このみ空に煌めく、今は亡き星々を見て!


後世に生きるわたしたちに


彼らは生きていた証をきちんと残している。


こんなにも美しい証を。


だからわたしは涙を流した。


願いを託した希望の涙を」




世界の空気が私に寄りかかる




群青の陰影の中に佇む子供の影が上を向く時


藁の詰まった私は尋ねた


何故空を見るのかと


「たくさんの星たちがぼくをなぐさめてくれるから。


安心できるばしょなんだ」


私は黙って空を眺めた




世界の空気が私に寄りかかる




陽光すべて過ぎ去り


休息の夜がバトンを受けとった


影はなくなりひとり佇む私


上を見上げると尚も変わらず


くず星たちの集会


その時


くず星とくず星の間の僅かな隙間で


一条の光が走った




私は、世界のみ空に、感謝する。

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